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視覚的人間 [言語・記号]

TheDoors.jpg


先日、仕事仲間に、ガム食べますか?とすすめられたのですが
私はガムは嫌いなので、と断ったところ、
えっ? ガムが嫌いな人なんているんですか?? 
と言われてしまった。

ここにいます。。


或いは、たとえば、熱狂的な巨人ファンの人が、むかし仕事仲間でいたのだけれど
その人が、私にいきなり巨人の誰が好き?みたいな話をふってきたことがあった。

いや、私は巨人どころか、プロ野球ってものが大嫌いで、
と言いたかったのだけれど、

あ、私野球はよくわからないんですよ、

と軽くかわしておいた。

そしたら、

え、○○さん、関東の人間でしょ?だったらふつう巨人ファンでしょう、
と食い下がられた。

巨人ファンでないどころか、野球は嫌い、って人間が世の中にはいる、ということが
彼には想像もできないのでしょう。。。

つまり、人間は、無意識のうちに、
自分が好きなもの、当たり前だと思っていることは、みんな好きだし、
世間的にも当たり前のことなんだ、と思って生きている、
ということが、往々にしてあるらしい。


前フリが長くなりましたが、
なぜこういうことを書くかといえば、私も実はそうだった、ということを
最近オルダス・ハクスリーの『知覚の扉』を読んでいて、気づいたからです。

ということで、先日の記事の続きになりますが
次のようなことが書かれていていました。

ハクスリーが幻覚を引き起こす植物を服用する実験に参加して、
どんな美しい幻覚を見れるのか楽しみにしていたが、期待していたような
ものではなかったと。
それはなぜかといえば、自分が視覚的な人間ではないからだ、
と彼は書いています。

どういうことかといえば、要するに、彼は、視覚的なイメージがあまり
頭の中に浮かばないのだとか。
たとえば、美しい詩的な文章など読んでも、
美しいイメージが浮かんだりということがあまりないらしい。

これは、私にとっては、とても意外なことだった。
私自身は、別に美しい詩的な言葉でなくても、
漢字2文字を見ただけで、いろんなイメージが浮かぶ人間だから。

たとえば、薔薇、螺鈿、寒椿、夜桜、紅葉、閃光、、、
なんて文字を見ると、瞬時に美しいイメージや鮮やかな色彩が頭に浮かぶ。

これに関しては何の疑問も抱いたことがなかっただけに、
必ずしも皆が皆そうではないのだ、ということを知ったのは驚きでした。


でも文字と美しいイメージが結びつくと言うのは、日本語の美しさでもあるのでしょう。
或いは、漢字文化圏に生活する民族特有のものなのかもしれない。

私はずいぶん長いこと英語とかフランス語とか勉強しているけれど、
たしかにこれらのアルファベットで記述された言語を見ただけでは、
イメージが浮かぶということは、あまりない。

なんとなく情景がイメージされるということはあっても、
やはり日本語を見る(言葉を「見る」という表現が許されること自体が、
非常に日本語的な特殊性なのでしょうか)場合に浮かぶイメージの豊潤さとは
比べ物になりません。
まあ、それはNativeかどうか、ということもあるでしょうけれど。

しかし、Nativeであるハクスリーがそうでないとすれば、
必ずしもNativeかどうかの問題ではなく、むしろ
言語によってそのイメージ・表象喚起力に差があるのか、
或いは視覚的イメージがわきにくいタイプの人間なのか、
ということの方が重要であるように思われます。

日本人でもやはり、言葉を読んで、或いは文字を見て、
なにも視覚的なイメージがわかない、という人もいるのでしょうね。

或いは、もしかしたら、結構そういう人のほうが多いのではないか、
とすら思ってしまったのだけれど、まあどうなんでしょうね。

それは、なんだか、あまり楽しくないな、と思うけれど。


ところで、ジム・モリソンはこの『知覚の扉』からバンド名をとって
The Doors と名づけたことはわりと有名だと思うのですが
最近見つけたDoorsのライブ盤 "Live in Pittsburgh 1970" は
かなりかっこよいです。




Live in Pittsburgh 1970

Live in Pittsburgh 1970

  • アーティスト: The Doors
  • 出版社/メーカー: Rhino/Elektra
  • 発売日: 2008/05/06
  • メディア: CD




The Doors

The Doors

  • アーティスト: The Doors
  • 出版社/メーカー: Rhino/Elektra
  • 発売日: 2007/03/27
  • メディア: CD




知覚の扉 (平凡社ライブラリー)

知覚の扉 (平凡社ライブラリー)

  • 作者: オルダス ハクスリー
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1995/09
  • メディア: 新書



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