今月の読書日記 (2) [本・雑誌]
福田和也氏の『悪の読書術』に、正統を知った上で、あえて異端として生きることに
凄みがある、といったようなことが書いてあったような気がするけど、
それはその通りだな、と思う。
よく異端好きとかいって、それこそ乱歩とか夢野久作、小栗虫太郎にサドといった
異端なものばかり読んでいて、
漱石とか川端とか鴎外なんかを全く読んでいない人がいる。
また、ニューウェーヴが好き、とかいって、すごくマイナーなバンドの
レアな7インチとか持ってたりするのに、
ビートルズもストーンズも1枚も持ってないし、
デビッド・ボウイやジェイムス・ブラウンもほとんど聴いたことがない、
なんて人もけっこういる。
まあ別に文学も音楽も趣味の問題だし、
好きなものを読んだり聴いたりしてればいいんだけど
やっぱり上のような人は、その世界の基本をおさえていないわけで
個性的な人だ、とは思うけど、凄い人だ、とは思わないし、
個人的にはあまり魅力を感じない。
逆に、見た目はふつうで、実際かたぎのサラリーマンで
難しそうな頭脳労働をやっいて、かばんの中には国際情勢関係の書籍とか
ヘーゲルやニーチェなんかが入ってたりするのに
iPodには、DISCHARGEから矢沢永吉、Pale Fountainsなんかが入ってたりする、
なんて人がいたら、なんだこの人は、とか思ってしまうよね。
やっぱり、なにごとも基本を押さえた上で、
いろいろ引き出しが多いというのがよいな、と思ったりする。
*
読書なんて、孤独な人間のすることサ。
誰かが言ってた。
そんなことは、わかってる。
*
新しい本を次から次へと読んでいくのもいいけれど、
たまには以前読んだものをもう一度じっくり読んでみる、というのも悪くない。
たいていの場合、以前とは違った印象を受けるもの。
いまなんとなく、久々に
いづみの作品を読み返してみようかな、とおもってる。
あまり不用意に読んでしまうと、はまってしまうような気がするけど
それは少し危険。
いづみの言ってることに共感しすぎて、いづみが抱えていた負の部分を、
こちらも思いっきり背負い込んでしまいそうな、そんな危険性がある。
10年くらい前、初めていづみの作品を読んだとき、
あやうくそうなりかけて、怖くなって、読むのをやめたおぼえがある。
ところで、いづみの「鈴木いづみコレクション」の装丁は、その殆どが
アラーキーが撮ったいづみの写真なんだけど、あまりにも秀逸。
これを見て全くピンと来ない、という人の感性は、正直理解できない。
アラーキーといづみっていう組み合わせは、70年代の日本における
最もかっこいいもののひとつ。
そしていづみは、70年代の日本で、もっとも天使に近い人間だったのでは。
冒頭の写真、今日届いた
「鈴木いづみセカンド・コレクション〈2〉 SF集 ぜったい退屈」の表紙だけれど
これを見て、そう思った。
こんなに素晴らしい写真を、今までの人生で
あまり見たことがない。
(これはアラーキーではなく、石黒健治氏によるもの)
とりあえず年末年始は、いづみと、ニーチェ、
コリン・ウィルソン、高村光太郎で過ごそう。
ニーチェを除いて、ぜんぶ10年以上前に一度読んだものだけど
たぶんそのときとは違った印象を持つはず。
鈴木いづみコレクション〈5〉 エッセイ集(1) いつだってティータイム
- 作者: 鈴木 いづみ
- 出版社/メーカー: 文遊社
- 発売日: 1996/12
- メディア: 単行本
鈴木いづみセカンド・コレクション (4) エッセイ集(2) ギンギン
- 作者: 鈴木 いづみ
- 出版社/メーカー: 文遊社
- 発売日: 2004/12/25
- メディア: 単行本
鈴木いづみコレクション〈3〉 SF集(1) 恋のサイケデリック!
- 作者: 鈴木 いづみ
- 出版社/メーカー: 文遊社
- 発売日: 1996/11
- メディア: 単行本
鈴木いづみセカンド・コレクション〈2〉 SF集 ぜったい退屈
- 作者: 鈴木 いづみ
- 出版社/メーカー: 文遊社
- 発売日: 2004/02
- メディア: 単行本
2009-12-27 11:53
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