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本日のお題: 嫌煙+差別 [ひとり妄想対話篇]

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- (おんな編集者A) あーもう腹立つ!(といって煙草をふかしはじめる)

- (先生B)オヤ、随分ご機嫌ななめだね。

- ちょっともう聞いてくださいよー、今週からうちの会社、全社禁煙、しかも勤務中は全員禁煙ですって!もー冗談じゃないですよ!

- なるほど、それはちょっとやりすぎだねえ。まあ、私も一服することにしよう。

- そうなんですよ、だって、こっちは別に、自分の席で吸ってるんじゃなくて、ちゃんと社内の喫煙所で吸ってるんだから、別にいいじゃないですか!

- でも、例えば君の隣の席の同僚は、君のことを煙草臭いと思っているかもしれないねえ。

- うっ。。 でも、私の隣の席の人なんて、煙草吸わないけど、もっと酷いですよ!この間なんて、二日酔いで出社して、朝からすごく酒臭かったし!

- ははは、まあ、いろいろたいへんだよね、この嫌煙vs喫煙という対立は。基本的には、人に迷惑をかけない範囲であれば、たとえ体に悪いことが明らかであろうと、あくまでも嗜好品なのだから、煙草を吸うのは個人の自由で、話はそれで終わりだと思うんだが、随分大騒ぎになっているよねえ。

- そうですよ、全世界的に展開してますからね。 なんでこんなに、撲滅すべき病原菌みたいな扱いをうけなきゃいけないんでしょう?

- 病原菌か、確かにそうだ。 我々喫煙者は要するに、スケープゴートなんだよ。社会が不安定な時代は、人々はスケープゴートを求め、それを徹底的に叩くことで憂さ晴らしをすることが、歴史上よくあるね。
だから、景気が上向いたり、ほかのスケープゴートが見つかったら、みんなそっちに行くだろう、と楽観視して、静観していたんだが、そう簡単なものでもなさそうだ。
間接喫煙防止条例が制定されたりだとか、とにかく、行政が動きすぎている感がある。まあ、そんな条例に誰も反対せず、みんなきっちり守ってるっていうのも、どうなんだか。。 日本人はいい子ちゃんが多いねぇ。
まあとにかく、人に迷惑をかけるのを防ぐというのはわかるが、それを越えて、禁煙を促したりだとか、個人の嗜好の問題に行政が介入してくるというのは、どうかと思うな。 

- そうですよ、エスカレートする一方ですよ! この間なんてびっくりしたんですけど、ある企業が、喫煙者を採用しないと発表したなんてニュースがありましたよ。 これって、ちょっと酷くありません?

- 確かにね。まあ、就活中のタバコを吸う学生には、じゃあ禁煙しよう、とか言わずに、そんなつまらんこと言う会社はこっちからお断りだ、くらいの気概を持ってもらいたいね。

- そうですよね、私が採用担当だったら、就職のことを考えて禁煙するような、そんな小賢しい学生は、ぜったい採用しませんよ。人間としてちっちゃ過ぎますし、大きな仕事を任せる気にはなれません!
だいたい、喫煙が業務上どうしても認められない、という業種ならわかります。でも、ふつうの企業で、喫煙者というだけで採用しない、というのは、ぜったい差別だと思うんですけど?

- 個人的には私もそう思うが、法的には、差別とは見なされないだろうな、おそらく。 企業がどんな人間を採用するかは、結局、企業の裁量に任されるわけだからね。
差別かどうかは措いておくとしても、喫煙者は採用しない、と一般企業が公言してしまうのは、ちょっといきすぎだろうね。君のように、これは差別では?と思う方が、むしろ自然な反応だと思うな。

- でしょう? とにかく、こういった差別的な発言を平気でする、しかも、どちらかといえば、自分はいいことをしてるでしょう?時代の先陣を切っているでしょう?的な、勘違いしていい気になってる感じとか、その無神経さが許せないんですよ、私は。
しかも世間的には、これに対してなんとも思わないとか、まあいいんじゃない、くらいに思っている人が多いみたいだし、そういった日本社会の人権意識の低さにも腹が立つんですよ。

- うん、それは同感だ。 確かに、日本人の人権意識の低さは感じるな。
それに、これを一旦容認してしまったら、これはやがて、メタボな人は採用しない、だとか、加齢臭のある人、口臭・体臭のある人間は採用しない、不細工な人間は採用しない。。  などと、エスカレートすることは目に見えているな、ははは。
ニーチェが言ってるように、「なにもしないでパンにありつけるようになったら、やれやれ!こんどは何を求めて叫ぶことか!」だな。

- 結局、自分はたばこが嫌い、喫煙者の存在自体が迷惑、だから、喫煙者を排除してしまえ、といっているようなものでしょう。
でも、自分はXXXが嫌いだ、だからXXXをやめさせろ、なんて、ものすごい自己中じゃありません?

- 同感だね。 他人の健康を害する可能性がある行為である、という点を除けば、だけれども、理屈から言えば、
おまえが建てた家のデザインが気に食わない。潰してしまえ。
XXXという芸能人は、社会に悪い影響を与えるから、テレビに出すな。
君のしているネクタイが気に食わない。そんなもの捨ててしまいなさい。

なんていってるようなものだね。要するに、自分が絶対で、他人の意見や嗜好を認めない、ということだ。

- ですよね、でもふつう、ただ、XXXが嫌いだから、という意味で何かをやめさせることはできませんよね。どうして煙草だけ、それが通ってしまうんでしょうね?

- まあ、政府やメディアによる洗脳というのがまず大きいのだろうが、それは置いておくとして、要するに、大義名分だよ。 つまり、「人の健康を害すから」、「迷惑だから」という理由がつくことによって、大義名分を獲得し、上のような無理が通ってしまうんだ。
でも、だとしたら、次のような要求は通るかな。
車は人をひき殺す危険性がある。実際、年間に何千人も死んでいる。
騒音や排ガスによる公害もひどい。 だから、車の販売は禁止しろ。

- 通りませんね。。 なぜなら、えーと、車には確かにそういったリスクはありますが、一人一人が気をつけたり、何らかの行政上の対策をすることで回避できるし、そのリスクを補って余りあるベネフィットがあるからだと思います。 これは飛行機事故が起きたからといって、飛行機を禁止しろ、と言わないのと同じですよね。

- そうだね。もし車がなくなってしまったら、世の中たいへんなことになるね。だから、自動車反対!なんて言っている人はまずみたことがないね。 ところが、煙草に関しては、せいぜい喫煙者が禁断症状に陥ってたいへんな思いをするくらいだな。私を含め。 だから、こんな無茶な要求が正当化されてしまうのだろうね。

- うーん。。 でも、喫煙マナーさえ徹底されれば、それで話は終わりだと思うんですけどね。どうして赤の他人に禁煙しろとまで言われなきゃいけないのか、やっぱり、納得できませんよ。

- そうだね。 さらにやっかいなのは、嫌煙家の人たちは、自分が絶対に正しく、善であり、喫煙者は絶対に間違っていて、悪である、従って彼らを叩いてもよい、というロジックに基づいていることだな。
だがこれは、見方を変えれば、彼らは誰かを差別したいだけ、とも言える。
政府やメディアによる洗脳によって、その差別が公認された、いや寧ろ助長されたようなものなんじゃないか。だから、差別的な状況が生まれているとすれば、その責任は当然、洗脳を行った政府やマスメディアにあるよね。

- じゃあ私たち喫煙者は、犠牲者ですよね。。 

- そうとも言えるな。 でも、洗脳された嫌煙家の人たちだって犠牲者と言えるんじゃないか。洗脳されてしまっているわけだから。
また、時代や社会によって異なるが、たいていどんな社会にでも、誰かを差別する人たちが一定数存在することは、事実だね。 差別的な感情は、基本的には優劣感情から発しているが、社会の構造というのも関係するね。
しかし、通常現代社会では、建前上、差別は許されない。 ところが、政府・メディアが大々的に嫌煙キャンペーンを行うことで、事実上、あたかも喫煙者に関してだけは差別してもいいですよ、というかのような認識を世間に与えてしまったんじゃないか。 これによって、それまで誰かを差別したい、でもできない、という状況で欲求不満状態だった連中、といっても無意識的に、だが、彼らがこれに飛びついた。。 なんていう解釈も可能だろうね。

- なるほど。。 差別の構造ですか。

- うん。 だから、そういった構造の存在に対して意識的になる、或いはそういった認識に基づいた議論を行う方が、煙草が有害かどうかとか、そんな不毛な議論をするよりよっぽど意義があるんじゃないかね。
あとは、逆にタバコを肯定的に見る観点だって、あったっていいと思うよ。 つまり、タバコをアクセサリーとして捉えるというか、そういった美的な観点からも語っておきたいね。
例えば、君も知っているだろう、ゲーンズブールの "Love On The Beat" 。

- ええ、80年代の。名盤ですよね。大好きです。

- あのジャケット写真には、ゲーンズブール本人が女装して、タバコをふかして写っているわけだが、この退廃的な美しさ、粋、かっこよさというのは、このタバコの煙がなかったら、どうだろうか。

- いやあ、タバコがなかったら、ぜんぜんかっこよさが違うでしょうね。その意味では、このタバコの煙の効果は大ですよね。とってもフランス的なデカダンスな雰囲気がでてると思います。

- とか、これについてはもっと語りたいところだが、まあ、長くなったから、今日のところは以下のニーチェの言葉を引用して締めておこう。

「われわれは何が善であり、何が正しいかをとっくに知っている。実際にそれを身に着けている。いまだにそうしたものを探し求めている者は、わざわいなるかな!」こう彼らはいい、心中に感じている。
悪人がいくら害悪を及ぼすからといっても、善人の及ぼす害悪にまさる害悪はない。(中略)
「善くて義しい者」たち自身が、かれを理解するわけもなかった。かれらの精神は、その安らかな良心の中に囚えられていたからだ。(中略)
善人たちは、独自の道徳をつくりだす者を十字架にかけざるをえない!これが真実なのである!」

(ニーチェ 「ツァラトゥストラはこう言った」)







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