SSブログ

今週のTV Bros.:原発のある町 [ECO・社会]

genpatunoarumachi.JPG




今週のTVブロスには、「原発のある町」と銘打って
九電のいわゆる "やらせメール事件" で揺れる原発の町・玄海町からの
ルポルタージュが掲載されている。

あまりテレビなどでは報道されない現状を伝えたもので
現地の庶民の声などが載せられている。

これを読むと、いかに原発がその地元に金をばらまいているか、
ということがよくわかる。

確かに、雇用機会が増えるため、若者が外に出て行かなくなり
それによって過疎化も防げるし、町は活性化する。

しかし、その町の様子の記述や写真を見ると、なんともいえない不自然さを感じる。
自然発生的に成立した人間のコミュニティとは言い難い、不自然さ。
要するに、その場にそぐわない、異様に大きな建物など、
こんなのいらないんじゃない?っていうものが多く、
一種異様な雰囲気を醸している。

おそらくは、このような状況というのはひとりこの町に限ったことではなく
原発のある町というのは、どこも似たり寄ったりなんだろう。

(実際、私は、とある原発のある町に行ったことがあるけれど
やはりそこも、交通量が少ないのに異様に広い道路、
利用客が少ないのに異様に大きな駅舎、人が少ないスクランブル交差点、、、
など、通常の田舎町では見られない、相当な違和感を感じさせる光景が見られた)


「俺知ってるよ、お金余ってるから無理やり作ってんだよ」
とは、地元の小学生の声。


一見、活気があるように見える町。
しかし、ひとたび原発事故が起きれば、壊滅してしまうという
とんでもないリスクに支えられた繁栄。。

そこに、なんともいえないうすら寒さ、不気味さを感じる。
それは殆ど幻想文学的、或いは
ディストピア系のSFにすら近い空気。


そして、莫大な金を前にしては
そんなリスクなんてどうでもよくなってしまうという
人間の浅はかさ、業の深さ、そして悲しさ。


原発と、それを受け入れる町、
というものだけで、人間のいろんな部分が見えてくる。


地元の原発反対派議員へのインタビューも載せられている。
彼によれば、原発に疑問を持ったのは71年、玄海1号機の誘致運動が始まり、
九電から莫大な金が地元対策費として入ってきたときとのこと。

飲み屋には数十万が流れ込み、接待攻勢が行われ、批判的な住民が抑えこまれ
町役場内の金銭感覚は麻痺していき、職員による2000万円公金横領事件が起きたり、
当時の町長が原発立地の用地買収に絡んで逮捕されたり、
といった酷い状況だったとのこと。

さらに、3号機、4号機の増設の話が出た際には反対派・賛成派が半々だったにもかかわらず
当時の町長は、住民の声を聞かずに増設を承認
それに対しリコール運動が起きるも、失敗。

そして、2011年。
3.11後の現在ですら、全12名の町会議員のうち、反対派は4名にすぎないという。



悲しい哉、これが現実。

一人でも多くのひとに、これを読んでもらえればと思う。


地元の漁師の方の言葉が印象に残ったので、引用。


「みんな金や情報に振り回され過ぎったい。俺から見ると、今の日本はどう考えても行き過ぎだ。
たまには、俺らみたいな自然を相手にしとるもんから話を聞くのも大切やと思うぞ。
自然は嘘つかんからのー。




それにしても、テレビ雑誌なのにこういうことをやってしまう、
しかも、専門家的な、或いは知識人的な口調・視点ではなくて
あくまでも我々のような一市民の目線でまとめあげるあたり
TVブロスという雑誌は本当に素晴らしいな、と思う。






原発列島を行く (集英社新書)

原発列島を行く (集英社新書)

  • 作者: 鎌田 慧
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2001/11/16
  • メディア: 新書




原発のウソ (扶桑社新書)

原発のウソ (扶桑社新書)

  • 作者: 小出 裕章
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2011/06/01
  • メディア: 新書



原発を終わらせる (岩波新書)

原発を終わらせる (岩波新書)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/07/21
  • メディア: 新書



原発の闇を暴く (集英社新書)

原発の闇を暴く (集英社新書)

  • 作者: 広瀬 隆
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/07/15
  • メディア: 新書



原発の深い闇 (別冊宝島) (別冊宝島 1796 ノンフィクション)

原発の深い闇 (別冊宝島) (別冊宝島 1796 ノンフィクション)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2011/07/14
  • メディア: 大型本



nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

自分を捨てるということ人口の問題 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。