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クリムト 生誕150年 [美術・建築・デザイン]

Medicine_01.jpg




先日、NHKの日曜美術館でクリムトが特集されていたので、
なんとなく見てみた。
今年はクリムト生誕150年で、ウィーンでは結構盛り上がっているとか。


http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2012/0408/index.html

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120405/art12040518460006-n1.htm

http://www.wien.info/ja/special/klimt2012


クリムトは、やっぱり西洋絵画史上まれにみる大天才だと思うし
私は昔から大好きだけど
今回、久々にその作品を見て、やっぱり凄い、と改めて思った。

これは、ウィーンに行くしかないかも、とさえ思ってしまったり。
行ったことないし。


ずいぶん前だけど、神戸でクリムト展が行われたとき、
わざわざ羽田から飛行機に乗って、神戸まで見に行ったことがある。
クリムトの絵を実際に見たのは確かそのときが初めてだったんだけど、
そこで「ベートーベン・フリーズ」を見て、衝撃を受けた。
でも、今思えば、壁画であるこの作品を、どうやって持ってきたのだろう?
或いは、レプリカか写真だったのかな。


彼の作品で印象的なのは、ウィーン大学から依頼され、
医学、法学、哲学をテーマに描いた作品。
これは、あまりにも依頼者側の意図に反したものとされ、
教育の場にふさわしくない、理性の優越性を否定する寓意に満ちたもの、として、
帝国議会で問題になるほどの論争を巻き起こす。

結局、これは大学側に受取を拒否された上、第二次大戦時にはナチスにより没収、
さらにその後保管場所が火災にあい、焼失。
現在ではそのモノクロ写真が残るのみ。

なんということか。。

まったく、芸術が理解されないというのは怖ろしいこと。


私はこの三作品が大好きで、これこそクリムトの天才ぶりが炸裂した作品だと思うし
ここまで独創的で、幻想的で、エロティシズムと凄みに満ちた作品というのは
世界美術史上例がないのではないか、と思うくらい。
なので、どうしてこの絵の素晴らしさ、凄みというのがわからないのか、
私には全く理解できないけれども

とはいえ、まあ、確かに、
人間の理性や知性がどうこう言ってる大学の先生方とか、政治家なんかには、
この作品のような、狂気や死の臭いに満ちた、あまりにもいかがわしく、退廃的な美しさというのは、
理解できないんだろうな。

ていうか、とりあえずこれを見て、引いたんだろうなぁ。。
まあ、100年以上も前の当時のヨーロッパの状況を考えれば、無理もないけど。

法学をテーマに絵を依頼して、こんなの↓ が来たら、そりゃ引くわ。


Jurisprudence.jpg



大学の校歌を依頼したら、Velvetsの"Venus in Furs" みたいな曲持ってこられた
みたいなものか。

たぶんクリムトも、大学の先生方の頭の堅さを知っていて、ちょっとからかってやろう、
くらいの気持ちがあったのかも。

アカデミズムから拒否されたり、作品が焼失したりというのも
悲劇といえば悲劇だけれども、
論争、挫折、衝突、悲劇、栄光、などに満ちて、
波乱万丈でスキャンダラスな人生だったりするくらいが、
天才にはふさわしい、と思う。

いやむしろ、天才とはスキャンダラスであって然るべき、というべきか。
ゲーンズブールだって、ダリだってそうだ。

お行儀がよくて、誰からも愛される芸術家で、一生幸せに暮らして、、
ていうのはなんか、ホンモノじゃない気がする。
少なくとも、かっこよくはない。

或る程度、反社会的というか、社会や良識と相容れない部分があったほうがいい。

ルノワールやモネの絵は素晴らしいけれど、
人間としての彼らには興味がない。
岡本太郎やゴッホの作品はそれほど好きでもないけれど、
人間としての彼らにはすごく惹かれる。


ちなみに番組には横尾忠則氏がゲスト出演されていた。
彼の姿をテレビで見たのはかなり久々だったけれど、
NHKにはふさわしくない、結構面白いことを言ってて、よかった。





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