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砂の器 [映画・芸能]

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先日の「5時に夢中」で、中瀬親方が、泣きたいときに見るDVDとして
紹介されていたこの作品、「砂の器」。

私も先日見たばかり。

確かに、泣ける作品だとは思うけれど、私の場合、泣くと言うよりも、
ただただその作品の凄さに圧倒されてしまい、泣くどころではなかった。
日本映画史上屈指の名作。

まずびっくりするのは、加藤嘉の鬼気迫る凄まじい演技。
死にかけた病人役をやらせたら、この人は世界一なのでは?

でも、この作品の本当の凄さは、後半の演出。
前半はかなり淡々としていて、謎解きミステリー的でありながら展開が遅く、
もどかしいんだけど、
ある時点を境に急転直下、ものすごい展開をみせる。
これが凄い。
この効果をあげるために、前半はわざとゆっくりとした展開なのかも。


加藤剛の、大岡越前とはまた違った、いかにも孤高の芸術家然とした、
独特の男前っぷりも最高。

加藤剛の指揮するオーケストラの演奏と、彼の過去、つまり
彼の子供時代、加藤嘉扮する父親と各地を放浪していたときとが同時に映し出されるという
その演出の効果が抜群で、あまりにもドラマチックで、いやがうえにも感動させられる。 
こんなの見たことない。
謎解きとか、そんなのどうでもよくなる。

幼少時代、殆ど学校にもいかず、教育も受けず、旅から旅への放浪生活を送った人間が、
音楽家・作曲家として大成功をおさめる、というのはちょっと非現実的で
無理があるかなとも思うけど、そんなこともどうでもよくなる。

ただ、島田陽子さんがぜんぜん目立ってないというか(途中まで気づかなかったし)
その良さがあまり生かされていないのは残念。
まあ、あまり目立たない役どころなんだけど。

あと驚いたのが、緒方拳。
すごく意外な登場の仕方をするので、びっくりした。
この人が緒方拳だったのか、と。
それにしても、異常な殺人鬼とか、血も涙もないヤクザとか、女たらしとか
かなりやばい人間を演じることが多い彼が、ここではすごくいい奴。

やっぱり緒方拳ってすごい役者だなぁ、とつくづく思う。


ちなみに、後半の親子が放浪する場面は、松本清張の原作には数行しかないとのこと。
それをここまでふくらませて、感動的に仕上げてしまうなんて、
監督と脚本家の力量たるやすさまじい。。 リスペクト。

映画の持つ「力」みたいなものを、ここまで感じさせてくれる重厚な作品は、
そうそうない。


重厚すぎて、私にはちょっと重いけどね。





砂の器 デジタルリマスター版 [DVD]

砂の器 デジタルリマスター版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • メディア: DVD



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