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トラウマ級に悲しい話。 [文学・思想]

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先日の記事でとりあげたアンデルセンの「人魚の姫」。
読んだことがなかったので、読んでみた。

で、驚愕。
結論から言ってしまえば、あまりにも悲しい、悲しすぎる話。
こんなにも悲しい小説を読んだのは、ほんとに久しぶりという気がする。

小説を読んでいて、こんなにも登場人物に感情移入してしまうなんてことも、
私にはめったにないこと。


これはアンデルセン童話なので、基本的に子供向けなんだろうけど、
こんなに悲しい物語を、子供が読んだらトラウマになるんじゃなかろーか。
まあ、感動もするだろうけれど。

とくに、ラストの悲しさと、あまりにも透明な美しさは、凄絶ですらあり、
そのイメージはあまりにも強烈。
世界文学史上の白眉なんじゃなかろーか。 素晴らしすぎる。。

童話という領域を超えた、見事な幻想文学ですよこれは。
未読の方には、激しくオススメしたい。

うーん 童話は侮れない。



人魚の姫―アンデルセン童話集 1 (新潮文庫)

人魚の姫―アンデルセン童話集 1 (新潮文庫)

  • 作者: アンデルセン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1967/12/12
  • メディア: 文庫




でも思い出してみると、小学校の図書館などにふつーに置いてあるような本で、
トラウマ級に悲しい物語というのが実はけっこうあったんじゃないか、
という気がする。特に、絵本とか。

小学生になんて本読ませるんだよ!もっとハッピーなもの読ませろよ!
っていう気もするけれど
まあ、現実社会というのは、これだけ悲しみに満ちたところなんだよ、きみ、
というのを、人生の早い段階で教えてあげるというのも、教育なのかもねぇ。


実際、私も、子供のころは、悲しい物語をたくさん読んだような気がする。
というより、本を読んで、楽しいとか面白いとか思ったことより、
なんともいえない、どよーんとした気分になったことの方が多いような気がするし
これは楽しかった、面白かった、という本は思い出せない。。
乱歩の少年探偵団シリーズくらいか。でもこれも、決してハッピーじゃないよねぇ。

でも、それで読書がいやにならずに、むしろもっといろいろ読みたいと思っていたし。

そう考えると、私はどんな小学生だったんだ、、 と思ってしまう。
これも私が背負っている十字架のようなもんだろーか。。


子供の頃読んだ悲しい物語といえば、真っ先に思い出すのは、斉藤隆介の「ベロ出しチョンマ」。

「チョンマ」、ってことばの響きがちょっと差別語っぽいんで、
一瞬ドキッとするんですが、大丈夫だよね、

これを読んだのはたぶん小学校の5年とか6年くらいだったと思うけど、
ものすごい衝撃を受けたような気がする。
いまだにそのときに感じた悲しさとか、話の内容を思い出せるくらいだから。

とにかく、あまりにもやるせない、凄まじく悲しい話で
ていうか悲しみを通り越して、どうしてこんなことになっちゃうんだろう、
どうしてこの子たちは、こんな酷い目にあわなければいけないんだろう、
といった、不条理感や理不尽さみたいなものを、たぶん人生で初めて感じた気がする。

あらすじはこちら。

http://www.catv296.ne.jp/~kodomonokazuki/hanashi.htm


でも、悲しいだけではなくて、絶望的な状況のなかにあっても、
優しさや愛情を見せることのできる人間というものの素晴らしさや、
自己犠牲の尊さ、などが描かれているところが、この作品の救いであり、また、
優れた点だと思う。

今読めば、子供の頃とはまた違った感情も持つだろうし
新たな発見もあるような気もする。






ベロ出しチョンマ (新・名作の愛蔵版)

ベロ出しチョンマ (新・名作の愛蔵版)

  • 作者: 斎藤 隆介
  • 出版社/メーカー: 理論社
  • 発売日: 2000/11
  • メディア: 単行本



モチモチの木 (創作絵本 6)

モチモチの木 (創作絵本 6)

  • 作者: 斎藤 隆介
  • 出版社/メーカー: 岩崎書店
  • 発売日: 1971/11/21
  • メディア: 大型本



斎藤隆介童話集 (ハルキ文庫)

斎藤隆介童話集 (ハルキ文庫)

  • 作者: 斎藤 隆介
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2006/11
  • メディア: 文庫





Gate of Quibble Island Cemetery, Chennai, India


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