ザ・ビューティフル - 英国の唯美主義 1860-1900 [美術・建築・デザイン]
先日偶然知った、「ザ・ビューティフル-英国の唯美主義1860-1900」展。
http://mimt.jp/beautiful/
アルバート・ムーアのあまりにも素晴らしい作品 "Midsummer" に、
ハッとさせられた。
このオレンジ色が、あまりにも豪奢だ。
バーン=ジョンズやロセッティ、ビアズリーはもちろんのこと、
フレデリック・レイトン、アルマ・タデマ、さらにはなぜかオスカー・ワイルドにいたるまで
私の大好きな画家・作家の作品が目白押しとなっている模様。
モローとルオー展ですら、行く気にならないくらい
出不精になってしまった私でも、これには、いってみよう、と思った。
でも、よくみたら
来年の一月からなんだね。。。
そのころにはたぶんわすれてるよ。
「ザ・ビューティフル」、つまり、ただ美しいものだけ。
うーん いいですね。
私は、いわゆるコンセプチュアルな現代アートみたいなものを見ても、
なにがおもしろいのか、全く理解できない人間で
美術には、美以外の要素、つまりコンセプトやメッセージなんていらない、
と思っている。
ていうかあってもいいけど、私はそんなものには興味がないし。
よくインタビューなどで、自分の作品について聞かれて
その作品で表現したかったことなどについて、やたらとしゃべりまくる画家がいるけれど
正直、それってどうなの、って思う。
ていうかむしろ、そういうことをされると、なんだかがっかりしてしまう。
いろいろ説明されたところで、その作品がより美しく見えるようになるとも思えないし。
パッとそれを見た瞬間なにかを感じるか、それだけの話。 説明は不要。
音楽だってそう。
だからこそ、国境を越えて愛されるわけでしょう。
ラファエル前派、ゴシック・リヴァイヴァル、
そして世紀末のSymbolismを私が愛してやまないのは
それらがただ美しく、ロマンティックで、シアトリカルでしかないから。
ロックンロールやネオアコ、ニューウェイヴにしても同様。
もちろん、たとえばこの絵画はギリシャ神話の○○の話の○○という場面を描いていて、
という説明だとか、美術評論などはあるけれど、
それはその作品における美というよりは、そこにこめられたロマンティシズムを
より深く味わうためのものであって
画家の社会的なメッセージとか、そういったものではないから。
美術評論にいたっては、その美術作品にはあまり関係なくて、
むしろ評論を書いている人の作品だと思う。
例えば澁澤の美術評論などがそのいい例で、それ自体が実に美しい作品になっている。
それにしても、ウォーターハウスにしても、アルマ・タデマにしても
やはり19世紀後半の英国美術はほんとに素晴らしいな、と思う。
なのに、同時代のフランス美術と比べると、知名度が低いような気がするのは
なぜなんだろう。
イギリス文学にしてもまた然り。
そういえばハリー・ポッターを書いたのはイギリス人だったか。
そういう私は、英文学といえば、アーサー・マッケンなどの怪奇/ゴシック文学ばっかりだけれど。
ちなみに私は、ルイス・キャロルやJGバラードがイギリス人だったということを
つい最近まで知らなかった。
美しいものは永遠の喜びだ
それは日ごとに美しさを増し
決して色あせることがない
わたしたちに安らぎをもたらし
夢多く健康で静かな眠りを与えてくれる
それ故毎朝わたしたちは花輪を編み
自分たちを大地に結び付けるのだ
落胆していようとも 暗澹とした日々に
生きるのがままならないとも
なにもかもが意に反して
むしゃくしゃしていようとも
わたしたちの心の暗闇から不吉なものを
追い払ってくれる美しさがある
太陽や月の美しさがそうだ
また若葉を芽吹いて繁みとなる木々
緑に包まれてのびのびと咲く水仙たち
灼熱の季節にも自分のために
涼しさを生み出す小川の流れ
麝香バラの咲き乱れる森の繁み
またわたしたちが偉大な死者について
思い描く運命の壮大さや
聞いたり読んだりした美しい物語の数々
天空の一端からわたしたちに降り注ぐ
不死の飲み物の尽きせぬ泉に
そんな美しさを感ずるのだ
(ジョン・キーツ 「エンディミオン」より抜粋)
なんとこんなものもありました
http://prb2014.jp/
でも、これも来年。。
ラファエル前派―ヴィクトリア時代の幻視者たち (「知の再発見」双書)
- 作者: ローランス デ・カール
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 2001/03
- メディア: 単行本
ラファエル前派 NBS-J (ニュー・ベーシック・ジャンル・シリーズ)
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2013-11-28 21:32
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