本日の収穫 [本・雑誌]
よくいうだろう。 幸福に事件はない、とね。
(バルベー・ドールヴィイ 「罪の中の幸福」)
そうなんだよね。
ふだんの生活に波風たたず、特になにもなく、
平穏無事でいること。
これもひとつの、幸せのかたちなんだろうなぁ。
私はいろいろ起きることを求めすぎているのかもしれない。
だからこころが乱れて、疲れてしまう。
さて
先日、自由が丘のパン屋の名店、ビゴの店に行きたくなり、
雨の中、たぶん5~6年ぶりで行ってきたのだけれど
やっぱりおいしそうなパンがたくさん並んでいて、うれしくなった。
カヌレは週末だけということで、買えなかったのは残念だけど
ライ麦のパンはとても美味しかった。
その後、ケーキや激戦区の自由が丘でも1、2を争うと言われる名店、
パリ・セヴェイユへ。
平日の夕方というのに、相変わらず激混み。
入る気をなくすも、前回来た時にも激混みで入らなかったので、
今回は意を決して、とりあえず中へ。
すべてのケーキが工芸品のごとく美しく、しかもめっちゃおいしそうで、
テンションUP。 こんなにも輝きを放つケーキってものがあるのかと。
でもケーキのショウケースの前にお客さんが多すぎて、
いつになったら注文できるやら、というかんじで、あきらめかけたとき
なぜかレジ脇にぽつんと佇んでいた Gâteau Basque が目にとまり、
これを買うことに。
思えば、パリ・セヴェイユでケーキを買ったのは初めて。やっと買えた。
これがまた美味しかった。
まあ、正直、うならされるほどではないにしても、食感がいい。
なかなか日本のケーキでは味わえない、完全にヨーロッパの味。
いい意味で庶民の味というか、日常的に食べられているおいしいもの、という印象。
といっても、結構手がこんでるんだろうな、というかんじがする。
また是非行きたい。
家に帰ろうと駅に向かっていたところ、古本屋の前を通りかかり、
全く行く気がなかったのに、なぜか吸い込まれるように、店内に足が向かった。
こういう時は、だいたい、思わぬ拾い物があるときで。
いわゆる、呼ばれてる、ってやつ。
それをこのとき、確信したのだけれど、実際、店内の棚をみてびびった。
大坪砂男の「零人」、アポリネールの「虐待された詩人」、日影丈吉といったレアものから、
黒岩涙香、小栗虫太郎、サドなどの、かなり古そうな単行本
(でも状態は良い)、函入りの乱歩全集、三島全集、、、 などなど
海野十三、蘭郁二郎もあったかな
雑誌だと、幻想文学、SFマガジン、夜想、ユリイカなどもたくさん、、
と、予想を遥かに上回る充実ぶり、つまり、欲しいものがやまほどあった。
片っ端から立ち読みしているうちに、いつのまにかにやにやしてる自分に気づき
ちょっと恥ずかしかったけど。。
で、結局、初めて知ったけどすごく面白そうだった雑誌、
「幻想と怪奇 吸血鬼特集」(73年)、
「牧神 創刊号 ゴシックロマンス特集」(73年)
を購入。 いずれもめちゃくちゃ面白い。
不思議と、いずれも装丁というか、誌面デザインがユリイカにかなり似てる。
目次が折ってあるところまで同じだし。
「幻想と怪奇」は、吸血鬼小説の翻訳がほとんどなのだけれど、なんと
カゾットの『悪魔の恋』だとかラヴクラフト、ウォルポール、デ・ラ・メア、
などの作品などが収録されている。
(但し、『悪魔の恋』は連載形式になっており、今回はその第2回。残念)
しかもウォルポールはオトラント城じゃなくて、短編。 レアだ。。
知らない作家もたくさん発見。
映画紹介は、なんとスピルバーグのデビュー作、「激突!」。
ちなみにこの雑誌、わずか12号を出版したのちに、休刊となってしまったらしい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%BB%E6%83%B3%E3%81%A8%E6%80%AA%E5%A5%87
http://www.book-komiyama.co.jp/bookblog/?p=11678
http://kimyo.blog50.fc2.com/?no=334
いいものを手に入れた。。
牧神は73年に創刊、78年には休刊。
http://boukyakutei.seesaa.net/article/189326662.html
こんなに素晴らしい雑誌が今でも続いてくれていたらと。。
夜想ってまだあるんだっけ?
調べてみたら、なんと夜想は98年に廃刊、出版元のペヨトル工房は2000年に解散してた。
でも、2003年には、ステュディオパラボリカとして復活、
夜想も復刊してた。
http://www.yaso-peyotl.com/archives/2008/07/post_313.html
http://www.yaso-peyotl.com/archives/2013/12/yaso_filles_1.html
よかったよかった。
こういう雑誌を作る人がいなくなってしまったら、それはつまり
日本がつまらない国になったことを意味する。
ていうか
私ってほんと、なんだかんだいって、
ゴスなんだなぁ、、 ということを痛感。
自由が丘であまいものを買って食べて幸せを感じたり、とか、
そういうふつーのOLっぽいことをしていながらも、結局、
幻想とか怪奇とか退廃とか、そういうのがほんとにしっくりくるんだから。。
[第4巻 ゴシック] オトラント城 / 崇高と美の起源 (英国十八世紀文学叢書)
- 作者: ホレス・ウォルポール(オトラント城)
- 出版社/メーカー: 研究社
- 発売日: 2012/02/21
- メディア: 単行本
2014-03-02 16:44
nice!(1)
コメント(4)
トラックバック(0)
今、ウチの本の整理をしているんですが、
1週間ほど前にこの『牧神』という雑誌を見つけたばかりです。
こういうのもシンクロニシティなんでしょうか?
ちょっとびっくりです。
by lequiche (2014-03-04 01:04)
まさにシンクロニシティですね!
その『牧神』に、今のlequicheさんにとってなにか重要なことが書いてあるのでは?
ちなみに何特集ですか
by hgstrm2 (2014-03-04 21:56)
その時はきっと重要だったんでしょうね。
今見ても、よくわかりませんけど。(^^;)
とりあえずこの前発掘したのは、
1、2、3、7、8、9、10、11、12号です。
4〜6号の無いのが残念。
古い雑誌がいろいろと出てきたので、
そのうちブログの記事として書こうと思います。
by lequiche (2014-03-05 01:04)
古い雑誌の記事、楽しみにしています!
by hgstrm2 (2014-03-05 12:27)