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タンゴ・音楽・肉体性。 [音楽]

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たとえば日本でタンゴというと、どうしても、
「黒猫のタンゴ」(古い)とか、社交ダンスみたいなイメージで捉えられているような
そんな気がしてならないんだけど、
こんなにもアツいソウルを感じる音楽もない、と私は思ったりする。

それを初めて私に理解させてくれたのが、大御所・アストル・ピアソラ。
それは、10代後半くらいのころに見た映画、「タンゴ・ガルデルの亡命」でのことだった。

そして最近、Lequicheさんのブログで(いつもありがとうございます)、アニバル・トロイロを知った。










素晴らしい。

すさまじい切れ味。。

そして、血の叫びというか、魂と情熱の奔出みたいなものが
そのまま音になってこちらにぶつかってくるかのようで
単純に、凄いな、と思う。 圧倒される。

そのへんの商店街のおっちゃんみたいな雰囲気の彼が
こんなにも素晴らしいミュージシャンであるというのにもびっくりだけど。

私はぜんぜんアルゼンチン・タンゴに詳しいわけではないし、
ふだん聴くこともほとんどない。

でも、たまに聴くと、このあまりにもアツい音楽には、やっぱり、やられてしまう。
うーん 逆に刺激が強すぎるのかも。。


アツい音楽という意味は、つまり魂の入った音楽ということであって、
その音楽を作り出した人々が生きてきた人生における、
苦悩、喜び、情熱、祈り、狂気、、 そういったものが、音楽という形になって
聴く側の魂にぶつかってくるようなもの、
音楽であると同時にドラマであり、人生であり、映画でもあるような
そんなものかなと。

或いは、もっとシンプルに言えば、人間の本能的なもの、つまり、
頭で考えたものではなくて、無意識と肉体から生まれたものだろうと。

具体的には、たとえば古いブルースとかジャズ、ソウル、日本で言えば民謡、
ロックならジミヘンとかストゥージス、あたりがすぐ思い浮かぶ。
あるいはジョイ・ディヴィジョンの名前も挙げたい。

ジミヘンなんか、ギターが完全に自分の体の一部になってるし
ジョイディヴィジョンなんかは、彼らの内面がそのまま音に変換されたみたいに聞こえる。


だから、タンゴにしてもフラメンコにしても、音楽と舞踊がワンセットになっているんだと思う。

激しく魂のこもった音楽には、激しい肉体性が感じられるという、この逆説。

でも、私が不思議に思うのは
これだけ肉体性とか魂とかを感じさせながらも、タンゴには同時に
何かが崩壊していくような、終わっていくような、そんな退廃性と、
人生の悲哀のようなものをたたえているのを感じずにはいられないということ。
そこにはタンゴを生み出した人間たちの歴史や生活が滲み出しているいうことなのか。

私にしてみれば、それが、タンゴのいちばんの魅力なんだけれど。



ところで、音楽の原点とは何か、みたいなことを考えた場合、
まず、鼻歌みたいなものから始まって、そこから、手を叩いたり、棒で石を叩いたりとか
リズムをとるアクションが派生して、そこからダンスが発生したんじゃないかと、
つまり、音楽と舞踊というのは、その発生の時期をほぼ同じくしてるんじゃないか、、

なんて思ったりする。


また、音楽を聴くと、自然に体が動くのは、結局、体が喜ぶからではないか、とも思う。

つまり、音楽にあわせて体を動かすのは、人間にとっては大きな快楽であり、
人間の歴史においてその体験は長きにわたって蓄積され、遺伝子レベルで刷り込まれているのでは、
という気がしてならないんだけど。

では、決して体が動くようなタイプの音楽ではない、美しい音楽を聴いて感動するのは、なぜなんだろう。
ここで私の思考は完全に前に進めなくなる。
全く説明できないから。

人類史上初めて、人を感動させるような音楽を作ったのは、
誰で、どんな音楽だったんだろう。。
それは、ある種の奇跡、天啓、あるいはMagicに限りなく近いものだったのでは。
本当に美しい音楽、聴く人を感動させずにはいない音楽、というものが存在すること自体、
奇跡みたいなものじゃなかろーか。。


そんなことも考えてしまう。


世界は謎と、魔法と、奇跡に満ちている。

なんか最近、全ての結論がこうなる。。






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lequiche

わざわざリンクしていただきありがとうございます。(^_^)b
こちらこそ、hgstrm2さんの書くことにいつも教えられています。
それとすごく好みが似ているのでこわいくらいで。(^^;)

タンゴってなぜあんなにパセティックなんでしょうね。
結局音楽ってジャンルじゃなくて、人間なんだと思います。
by lequiche (2012-10-13 10:56) 

hgstrm2

lequicheさん、コメントありがとうございます!
いつも興味深く読ませて頂いています。

タンゴがパセティック、音楽は人間なんだ、という視点、さすがlequicheさん、と思うと同時に、激しく同意です。
by hgstrm2 (2012-10-13 16:45) 

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