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古本屋めぐりの愉しみ。 [本・雑誌]

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最近、久々に、古本屋に行くことが多くなっている。

この1年くらいの間に、神保町にも何回か行った。
神保町にいくなんて、学生の頃以来かも。

なにげに自由が丘の古本屋もすごくいい。
店の名前がなぜか覚えられないけれど、たしか自由が丘には
古本屋は3軒しかないはずで、ぜんぶ好き。
とくに、そのうちの2軒は、澁澤系とか、乱歩・黒岩涙香・小栗虫太郎といった
探偵小説系、オカルト系など、私の好きなものがたくさんあって
行くときはいつもワクワクする。

でも、なんか最近、もっと面白い古本屋はないかなー、と思って検索してみたら、
結構出てきて、
しかも、従来の古本屋のイメージを覆す、オサレなカフェか雑貨屋と見まがうような
素敵なお店ばかり。

http://matome.naver.jp/odai/2137145956522282901


私が知らない間に、古本屋は進化していた。

別に、古本屋は従来の古本屋でいいんだけど、
まあ確かに、古本屋ってなぜか年齢層が高い男性客が多く
となると必然的に結構臭いもアレだったりするため
女子がひとりで入るのは憚られる空間であったことも確か。

なので、このようにオサレに進化していくことは歓迎すべきであるけれども
とはいえ一番重要なのは、品揃え。

これは、ひとそれぞれ好みがあるので、仕方がないけれど
このお店は美術系に強いとか、探偵小説ならこのお店、といったように
どんどん専門化していくのであれば、面白い。
私は古本屋は好きだけれど、ブックオフにいっても面白くもなんともないのだ。

先日、そんな中で見つけた、深沢不動にあるお店 に行ってみた。

まず、入り口がわかりにくい。。
有名なケーキ屋の、Patisserie Naoki のある建物の、2Fなんだけど、
表には看板が出ておらず、入り口も裏側。
その古いマンションの階段を上がっていって、
ドアを開けていきなり聴こえてきたのが、ドアーズ。

思わずにやりとしてしまったけれど、
その後もかなりサイケな60年代アメリカンロックが続いた。
もうこの音楽からして既に、古本屋の雰囲気ではないけれど、
店内も私の中の古本屋のイメージを覆す、原宿あたりにありそうな、
かっこいい古着屋か、いい感じの飲み屋といった趣き。

しかし驚くのは、これだけ目立たない店なのに、お客さんがいること。
ちょっとオサレなアート系っぽい人ばかりで
神保町の古本屋によくいるちょっとやばいおやじは皆無。

まず目についたのは、
アート系から、レアな海外の雑誌、写真集、エッセイなど。
80年代のオリーブまであったのにはびっくり。

古本だけでなく、IMA やKINFOLK、ecocolo など、最近の雑誌もあり。
KINFOLKは、最近はちょっとこじゃれたお店ならだいたい置いてあるけれど、
IMAをこれだけたくさん見ることはなかなかないので、結構読んでしまった。

なかなか写真が充実しているけれど、ガツンとくるほどではなかった。
パラパラとめくってるうちに、いい写真というのは、美しく撮ろうとして撮れるものではないし
必ずしも美しい写真である必要もないのかな、、
などと思ったり。

でも、ニック・ナイトの仕事場というのはなかなか興味深かった。


と、いきなり音楽のボリュームが下げられたと思ったら、
次に聴こえてきたのは、ルー・リードの VICIOUS。

これ聴くの久しぶりー、なんて思いながらも、聞き流していたのだけれど
これを含む "TRANSFORMER" が流れているのを聴いていて、
改めて、その名盤っぷりにうならされた。

奇跡的な名曲 "Perfect Day"、ヒット曲の "Satelite of Love" はいうまでもないけれど、
意外と、B面の1曲目の "MAKE UP" が、かなりいい曲だということに気づいた。
コード進行も凝ってるし。

ルーはやっぱり歌は上手じゃないけど、ほんといい味だなー、
と思った。


本題に戻ると、一通り本の棚を見てみて、いまいちピンとくるものは感じられなかった。
私の好きなものはほとんどなかったというのもあるけれど
日本文学が村上春樹くらいしかないのがちょっと。
なんとなく、村上春樹をおしている、という気配を感じただけで、
彼の作品の良さが全く理解できない私は、ちょっと引いてしまった。

村上春樹って、世間的に人気があるのはわかるけど、
古本屋をまわったりするような人の間でも人気があるのかな?


また、アメリカ文学が結構あるわりに、フランス文学が殆どない。
ボードレールくらいだったかな。
この雰囲気・品揃えからして、ジュネとかセリーヌくらいはありそうなんだけど。
心理学系は少ないのに、フロムだけは何冊か。

なんだろう、うーん
植草甚一的というのか。。 そんな空気感で、
正直あまり私好みではなかった。

本だけでなく、各種雑貨、レコードもあり。(7インチも!)
ゲーンズブールがあったのには驚いたけど。

こういう本屋を廻っていて、うれしいのは、ふつうの本屋と違って
ビジネス書・自己啓発系・引き寄せ系・こうすれば願いは叶う系・
なんか知らんけどやたらと売れてるミステリー系、、
などの、あまりにも俗っぽい本が存在しないということ。

最近、私は本が好きです、とか言って読書会などに参加している人に、
上のようなジャンルの本ばっかり読んでる人が結構いて、ちと辛い。

まあ、どんな本を読もうと、もちろん勝手だけど
こうすれば願いが叶う、みたいなあやしい本を読む時間があったら、
美しい文学でも読んだほうがよっぽど有意義な人生なんじゃないの?
と、大きなお世話であることは重々承知で、思ってしまうけれど

少なくとも私は、せめて本を読むときくらい、現実を忘れたり、その向こう側に行ってみたい、
と思うし、それこそが読書の最大の魅力だと思うし。


鏡花はどこかへ連れて行きます。日本の近代文学でわれわれを他界へ連れていってくれる文学というのはほかにない。
文学ってそれにしか意味はないんじゃないですか。

(三島由紀夫・澁澤龍彦 「鏡花の魅力」)




尚、コーヒーでも飲みながら、ソファに座って読んでもいいです、
と言っておきながら、照明がかなり暗い。。

ひとつだけちょっと嫌だったのは、動物の剥製が置いてあったこと。
私は、どうしても、これだけはダメ。

まあ、それを差し引いても、なかなか居心地のいい空間ではあるし
いろいろ発見もあったり、行ってよかった。

いい古本屋には、魔術性がある。



http://www.hellomag.jp/column/2013/05/m369-index.html

http://imaonline.jp/library/venues/5100f1946a8d1e6e08000001

http://blog.magazineworld.jp/popeyeblog/23706/




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lequiche

>> こうすれば願いが叶う、みたいなあやしい本

これ、笑いました。
でもそういうあやしい本って印刷物かパンフレットであって、
本じゃないですけどね。
先日、昔の友人たちと飲み会があって、
でもすごく面白くなかったんです。
なぜ面白くなかったのか考えていたら思い当たったのが、
話題が「あやしい本」的なことばかりで、
私の興味から全く外れていることだということに
思い当たりました。
by lequiche (2015-03-24 12:07) 

hgstrm2

コメントありがとうございます。

>>でもそういうあやしい本って印刷物かパンフレットであって、 本じゃないですけどね。

なるほど。そう思えばよいのですね。
でも、私がひっかかるのは、そこまでして願いを叶えてほしいという強欲っぷりの方なのかなとも思いました。
人間の欲の深さは恐ろしいです。

by hgstrm2 (2015-03-24 21:11) 

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